2023/11/02
10/31(火)、西浜小学校2年生100名ほどが来郷しました。今年3度目、今回の目的は「庭園で虫取り」ということで、最初に秋の虫の写真を見せてあげました。10月も末ともなるとめっきり虫の声も聴こえなくなり、皆捕まえるのに苦労していましたが、それでもカマキリやチョウやジョロウグモなどを捕まえたと自慢げに見せに来てくれました。小一時間駆けずり回り、虫かごの成果物を大事そうに持ち帰っていきました。また、冬枯れを観察に来ることでしょう。無条件で元気がもらえます。
(以下、柴橋さん投稿です。)
藤棚の柱に絡むキヅタ(木蔦)の花が開きました。蜜が固まっているのか、花盤はまるで砂糖菓子、アリにとっては絶好の場所の様です。
近寄って虫眼鏡で見ると、アリの脚は繊細で精巧なガラス細工であるかのようで、感心してしまいました。体の腹部は艶のある滑らかな美しい光沢、それに対して、胸部と頭部は艶消しで、よく観ると鱗状の模様に覆われているように見えます。これを網目と見てか、付けられている名前はアミメアリ(網目蟻)です。この写真を見て初めて気付いたのですが、右側のアリの胸部の端に棘があるようです。
ビワの花にもアミメアリが寄っていたので、今度は最初から棘を見るために撮影してみると… ありました、ありました、左右一対の立派な棘です。他の種類のアリには見られない特徴です。アミメアリの最も大きな特徴は、他のアリとは異なり、女王蟻がいないことだそうです。女王蜂が構える巣もなく、大勢が一斉に住処を変え、普通のアリ同士で産卵するのだそうです。こんなに身近に見るアリが、学校で教わる「アリ社会」とは異なった社会を営んでいるなんて、全く知りませんでした。
今年は全国各地でカメムシが異常に多く発生していると報道されています。「異常に多い」のかどうかは定かではありませんが、キヅタに集まる虫達の中にも、艶のある緑色のカメムシが複数匹いました。名前もツヤアオカメムシ(艶青亀虫)というのだそうです。この一匹、頭隠して尻隠さず状態です。
もう一種類、こんなカメムシもいました。「いかり肩」が発達してツノのように側方に強く突出しているのでツノカメムシ、明るい緑色に暗褐色のX字型の斑紋があるのでアオモンがその前に付けられて、アオモンツノカメムシ(青紋角亀虫)です。突き出たツノが眼なのかと思ってしまいました。
椿の実が割れて種子が露わになりました。種子に穴を開けて中身を除去してツバキ笛を作って遊んだりしたのも今は昔。中身から絞り出すのが椿油。お相撲さんの鬢付け油が椿油だと聞いています。
同じく、果実の殻が割れて中の白い種子が露わになっているのは、ナンキンハゼ(南京櫨)です。かつてはこの白い種皮からロウが、内側の種から油脂が採取されていたのだとか。そんな種子をヒヨドリなどの鳥達が啄んでいるのをよく見ますが、ロウに包まれた油脂など果たしてうまく消化できるのだろうか、と思ってしまいます。
傍のセンダン(栴檀)の果実は今こんな半熟状態です。こちらは、中の核が生薬として利用されることもあるとか、あったとか。薬であるということは、食べるには毒だということなのでしょう。
艶のある、まだ僅かに緑成分を残して茶褐色の玉となったのは、あのヘクソカズラ(屁糞葛)。名前の由来となった臭いは果実にはなく、既に多くが消失しているところから推察すると、鳥達には味覚的に人気のある果実なのでしょう。
この時期に咲いた花を最後にもう一つ。ナワシログミ(苗代茱萸)です。見た目の華やかさはなくソバカスだらけの姿なのですが、甘い良い香りを漂わせています。
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