情景「プールサイド」

2024/07/31

蝉の声

蝉の声はなぜうるさく聴こえないのでしょうか。あぶら蝉なんかは、鳴き声も無粋でがなり立てているだけ(失礼)と言われても仕方ないくらいですが、夏の到来を嫌が上にも実感させてくれ、蝉しぐれなどと好感を持って受け入れられもしています。にいにい蝉、みんみん蝉、つくつくぼうし、くま蝉、ひぐらし・・・ぐらいしか私には挙げられませんが、日本には30種ほどの蝉が夏を夏らしく演出してくれているようです。この声で暑さをいくらかでも凌がんとする俳聖の心情が、騒の中の静を見事に吟じています。

静かさや岩にしみいる蝉の声  松尾芭蕉

 

(8/1 以下、柴橋さん投稿です。)

庭のあちらこちらにタカサゴユリ(高砂百合)が咲き始めました。花弁の外側に薄い紫色の筋が入ることが多いのですが、この個体の様に、それが入らないものもあります。種子が風で運ばれて分布が広がり易い上、実生で1年目から開花することもあって、結構あちらこちらで目にします。

 

花こそ小さいながら、ラッパ状の形という点ではタカサゴユリの花にも負けないのは、オシロイバナ(白粉花)。種子の中の胚乳がオシロイの粉に似ていることからこの名の由来だとされていますが、江戸時代には実際にオシロイの代用品として使われていたそうです。

 

花自身も魅力的な香りです。オシロイバナの花には花弁がなく、花弁の様に見えるのは萼で、萼の様に見える部分は特殊化した葉である苞(ほう)なのだそうです。花は夕方に咲いて翌朝には萎む一夜花です。

 

全体で一つの丸い花の様に見えますが、小さな花が集まって咲いているランタナです。夏の強い日差しも暑さも物ともせず、シチヘンゲ(七変化)の和名の通り、華やかさを保ちながら色を変えていきます。

 

旧第一病舎南に並ぶ中低木の一つ、花柱の名残がまだ付いたシャリンバイ(車輪梅)の幼果です。熟した果実のまん丸い形が印象的なのですが、幼果は楕円球、しかも鉛筆の切り口の様な花が落ちた痕が生々しく残っています。

 

同じ並びのトベラ(海桐花)の幼果。何かを頬張っているかの様な姿です。将来、三裂するであろうことが、この段階で見て取れますね。

 

やや扁平な球形をしていて、光沢がある、ハゼノキ(櫨の木)の果実です。江戸時代には、これらを蒸して圧搾して木蝋を抽出し、和蝋燭などの原料としたのだとか。

 

トベラ同様、何かを頬張っているかの様な果実はここにも見られます。ナンキンハゼ(南京櫨)です。名前は「中国のハゼノキ」の意味の様ですが、植物の分類上はハゼノキとは別の科目だそうです。確かに花は全く違いますし、ハゼノキと違い、果実には光沢がありません。あと数ヶ月して黒く熟すと、果皮が三裂して、白い仮種皮に包まれた種子が現れることになります。ハゼノキ同様、江戸時代には、これらを和蝋燭などの原料としたのだとか。「中国のハゼノキ」とされる所以です。

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