情景「プールサイド」

2021/05/27

梅雨入り間近

湿りがちな日が続いては、抜けるような青空を迎えたりしています。晴れた日、久しぶりに顔を出した富士山は、雪がだいぶ消えて夏姿に向かっていました。そして今日はまた強めの雨降り、水の補給を十二分に得て草木がどんどん伸びていきます。植栽の刈込作業が忙しくなります。

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

来泳者用駐車区域の南側の芝の間にオオニワゼキショウ(大庭石菖)が咲いていました。庭石菖に「大」がついている名前の通りに、よく似た花である庭石菖より背丈こそ大きいのですが、花に関しては逆で、庭石菖より一回り小さい可憐な花です。

丸池の南側に、ハゼノキ(櫨の木)の雄花が咲いているのを見つけました。門の近くで見た雌花と比べると、なるほど、雄蕊が明らかに長く、葯も大きく、雌花との違いは明白です。

旧第一病舎北側の大きなクスノキの傍に、イヌツゲ(犬黄楊)が沢山の小さな花を付けています。櫛や印鑑に使われるツゲと似ているものの、材質が劣るためにイヌツゲと名付けられています。とはいえ、生垣などで広く親しまれていて、日常的にはイヌを省いて単に「ツゲ」と呼んでいる方が多いのでは、と思います。雌雄別株で、ここの木は雌株です。花には蜜が満ちています。短い雄蕊は退化しているそうです。

蜜に誘われるのか、アシナガバチ(足長蜂)が飛び交っています。イヌツゲを銘打った蜂蜜は耳にしたことがありませんが、色々な花々から採った蜜を配合した百花蜜として出回っている様です。

うわっ、イヌツゲの花の蜜を求めてか、スズメバチ(雀蜂)が寄ってきました。うっかり手で払ったりすると危険です。思わず怖気付いて、写真がぶれてしまいました。

(いましたね。去年刺されたんですよ。ユンボを動かしていたら近づいてくる虫がいて、払おうとしたらチクリ・・・。スズメバチでした。急いで処置に向かいました。痛いし、だいぶ腫れました。近くに巣を見つけ、保健所にお願いして駆除してもらいました。気をつけましょう。)

旧第一病舎の西傍には、ホタルブクロ(蛍袋)が咲いています。現実としては起こらないのでしょうが、花の中の蛍の明かりが外へ透ける様子なんて想像するだけで楽しくなります。

ひょうたん池の傍にミゾソバ(溝蕎麦)が咲き始めました。基部が横に張り出した鉾型の葉の形も特徴的です。

ドクダミ(毒矯み)の花が、あちらこちらに咲いています。湿り気のある半日陰地を好むので、ひょうたん池の傍にも群生しています。白い花弁のように見えるのは、実は蕾を包む葉が変形したもので、本物の花弁ではありません。真ん中から黄色く突き出たのが、沢山の花が密生した花穂です。花といっても、花弁も萼もなく、雌蕊と雄蕊だけから成っています。それで全体として、ひとつの花の様に見せかけるのですから、自然の造形の妙に感心します。

(この花も好きなのですが、ごめんよー・・・とささやきながらプール周辺のを引っこ抜いています。ほおっておくと、はびこり様が半端ではありません。)

そういえば、オオキンケイギク(大金鶏菊)の花も、全体でひとつの花のように見えますが、沢山の花が集まったものです。一見花弁の様に見えるのですが、その一枚一枚が、実は、雌蕊はないものの花とされています。一方中心部を拡大して見ると、そこには小さな筒の様な構造が密集しており、その一つ一つに雌蕊が見えます。背が低いので見難いですが、雌蕊を囲む様に雄蕊もあり、筒状の構造の一つ一つが花であることが判ります。これは菊の仲間の花の特徴です。

近くに、マンテマが咲いていました。花は小さいのですが、赤い縦縞が入った膨らみのある長い萼筒と、白の縁取りのある赤い花弁が印象的です。

同じく近くに咲いていました。花は茄子によく似た可愛い姿ではあるものの、茎にも蕾にも葉の裏にすら鋭い棘があって扱いが厄介なうえ、花が終わってからなる実は毒を持つので、ワルナスビ(悪茄子)と名付けられています。取り扱い要注意です。

Tさんに珍しい白い露草が咲いていますと教えて頂きました。庭園として公開されている区域の南側境界近くに咲いています。オオトキワツユクサ(大常盤露草)というのだそうです。真っ白な三角形の3枚の花弁と雄蕊の周りに生える細い毛が印象的です。花が咲いているこの時期に見れば露草との違いは明瞭ですが、葉だけの状態の時期には両者の区別は容易ではなさそうです。

近くにビヨウヤナギ(未央柳)が咲いています。美容柳の別表記やビジョヤナギ(美女柳)の別名でも知られています。花弁よりも長い沢山の雄蕊が華やかです。名前にヤナギと付いていますが、柳の仲間ではなく、太陽の郷玄関前ロータリーに咲くタイリンキンシバイ(大輪金糸梅)の仲間です。タイリンキンシバイと同じく、左右一対で並ぶ葉が上下の対とは直角にずれて並んでいます。

ゼンテイカ(禅庭花)が漏斗状の花を咲かせていました。花の形は百合に似ているものの、百合とは違って翌日には萎んでしまいます。別名のニッコウキスゲ(日光黄菅)の方が親しまれているかも知れませんが、日光の高原だけに特化しているわけではなく、各地で見られます。とは言え、さすがに温暖な湘南の地が自生地である筈もなく、この株はどこかから移植されたものだろうと推測するのですが、楚々として咲く姿は旧第一病舎の遠景に良く馴染んでいる様に思います。

(尾瀬大江湿原、鳥海山稜線下、月山弥陀ヶ原、等々・・・、夏山を黄に染めて止まない大群落、しばし足を止め見入るのです。)

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