情景「プールサイド」

2023/10/05

柿色付く

第一病舎前の柿が色づいてきました。柿と言えば、“柿食えば鐘がなるなり法隆寺 正岡子規” が、思い浮かびます。柿をかじる姿に鐘の音がオーバーラップ・・・、鐘はどこで聴いていたのでしょうか。境内の一角の茶店だったでしょうか。はたまた、法隆寺を後に参拝帰りの道すがらその背に聴こえて来たという風情は如何でしょうか。後者が相応しくありませんか。のどかな斑鳩の佇まいが広がってきます。

郷の庭も秋景色、色付きが始まりました。童謡“里の秋”が聴こえてくるようです。

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

先週紹介したヌルデ(白膠木)の花、もう花弁が落ちて、花柱を残した赤い子房の状態になりました。花は軸対称の形であったのに、子房は球形や楕円球ではなくて、扁平な形なのが意外です。

 

プールの南、窓の正面のアキニレ(秋楡)に現れた蕾があっという間に開花しました。花とはいえ、葯が大きい雄蕊がジャンケンの「グー」の様に丸くまとまった中から、二裂した雌蕊が顔を出しているだけの姿です。それでも数が多いのと、葯の茶褐色が特徴的なので、結構目立ちます。

 

その変貌は早く、二日後には葯も花粉放出後の姿、いえ、それどころか、雄蕊の多くは既に落ちていました。

 

さらに二日後、まだ花柱は残ってはいるものの、早くも子房が大きくなって幼果となっていました。果実とはいうものの、扁平どころか、色こそ違え、形は薄焼煎餅です。

 

こちらはまん丸い果実。すっかり赤くなったモチノキ(黐の木)の実です。花柱の痕跡が残っています。カメムシ(亀虫)がいるのが判りますか。

 

マテバシイ(馬丁葉椎)の実もすっかりドングリになりました。二年がかりの熟成です。

 

芝に目を転じると、オオフタバムグロ(大双葉葎)の果実も熟して赤くなっていました。先端に4個の萼片が残っています。

 

花の季節が長いアオツヅラフジ(青葛藤)はまだ新しい花を咲かせています。雌雄異株で、これは雌花。6個の柱頭のそれぞれの下に子房が見えています。やがてそれらが見かけは葡萄の様な果実になる筈です。

 

こちらは今が季節のイヌコウジュ(犬香薷)の花。大きさ3ミリ位の可憐な花です。生薬として使われる香薷に似てはいるだけで、その役には立たないので、この名で呼ばれるのだとか。これって、犬に対しても、花に対しても、あまりに失礼な名前の付け方ですよね。

 

近くにはタイワンホトトギス(台湾杜鵑草)が咲いています。派手な紫色の斑点模様を鳥のホトトギスも胸の斑に見立てたのが名前の由来だとか。この写真に見る様に、咲き始めの頃は、花弁は優雅な形で開き、噴水状に広がった雄蕊雌蕊と相俟って、トロフィーの様な形をしています。基部には「距(きょ)」と呼ばれる袋の様なものが3つ(それぞれが2つに別れていますから計6つと数えるべきか)あるので、花だけ切り取っても台座の役割をしてくれそうです。

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