2022/05/05
庭園の一角に集成材の大きなベンチがありました。プールを25mから20mに縮小移築した時、上屋を支える構造用大規模集成材のフレームが1本余りました。これを庭園のベンチに活用したのは、プール創始者・髙田準三のアイディアです。永いこと庭園を訪れる方々の憩いの場となってきましたが、風雨にさらされ朽ちてきました。安全面から撤去することになり、耐候性に優れたハードウッドのベンチに置き換えました。因みにプールの受付カウンターもこの集成材で、こちらはまだまだ健全です。内と外では傷み方がこんなにも違うのですね。
新しいベンチもどうぞよろしくお願いいたします。
(以下、柴橋さん投稿です。)
淡い紫色(藤色)のフジ(藤)に遅れて、来泳者駐車場前の白い藤も満開になりました。長い花房が優美です。房の上の方の花には、蜜を求めてでしょうか、蟻がやって来ています。撮った写真をよく観ると、房の下の方、手前のイネ科の草の小穂から雄蕊らしきものが出ていることに気付きました。ムツオレグサ(六折草)の様な印象ですが、写真ではなく今度は実物を観てみるとしましょう。
白い藤の花に似て房状に白い蝶形の花を沢山つけるハリエンジュ(針槐)、通称ニセアカシアの花です。茅ヶ崎市の「市の木」はアカシアと制定されているのですが、市の木のデザインから、それはニセアカシアのことであることが分かります。確かに以前は市内のあちこちで見られたのですが、最近は少なくなっている様に思います。甘い香りを漂わせている筈ですが、背が高過ぎてその香りに届かないのが残念です。
見上げるほど高い所に咲いている花をもう一つ。正門傍の松の木を這い上がったツリガネカズラ(釣鐘葛)が沢山の花をつけています。黄色〜橙色〜赤橙色へと外から内へと色が転じています。花はカレーを連想させる匂いだそうですが、残念なことにこれも高い所に咲いているので確かめることが出来ません。それにしても、この松、ツタにツリガネカズラにスイカズラに巻きつかれて樹肌はすっかり覆われてしまっています。
その並びの生垣に咲くスイカズラ(吸葛)です。2個ずつ並んで咲くのが常です。細い花筒は大きく上下に裂けていて、上側は更に4つに裂けています。咲き始めは僅かに淡紅色を帯びた白ですが、次第にこの個体の様に黄色に変わります。甘い香りがたまりません。
同じ生垣に産毛に覆われた小さい丸いものが… 何だろうと考えること暫し。これがスイカズラの蕾かと気付くには時間がかかりました。スイカズラの蕾の写真は図鑑やネットのあちこちで見られますが、どれも白く細長い姿で如何にもスイカズラだと分かるものが殆どです。こんなに初期の状態を見るのは初めてですし、珍しい姿を写真に収められた、と満足です。
先々週紹介したキランソウを立体的に積み上げた様な、セイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)です。西洋に十二単なんてある?と思ってしまいますが、ジュウニヒトエと呼ばれる在来種と類似した外来種であるためにこう呼ばれるそうです。でも落ち着いて考えると流石に奇妙と思えるからか、園芸品種としてはアジュガという名で通っています。
ひょうたん池の水辺にキショウブ(黄菖蒲)が鮮やかな黄色の花を咲かせています。先端が垂れ下がった3枚の大きな外花被片(がいかひへん)の上に被さって上に反っている3枚が雌蕊です。そのうちの右側の雌蕊の中央寄りの下が黒っぽくなっているのがお気付きかと思います。更に拡大して見れば、それが雄蕊の葯の一部であることがお分かりになると思います。雄蕊は雌蕊の下に隠れているのです。外花被片と雌蕊の間の深い所に潜り込んでいる蟻が、蜜腺の在処を教えて呉れています。
その辺り一面、なんとも甘い香りが一杯です。ナツミカン(夏蜜柑)の花です。雌蕊の先がもうミカンになっているかの如く見えますが、これはミカン特有の大きな柱頭に過ぎません。果実となる子房は雌蕊の根元です。夏ミカンという呼称は商品名で、本当はナツダイダイ(夏橙)というのが正しいそうです。でもそれでは最早通じないでしょう。
薄紫色の可愛らしいこの花はアメリカフウロ(亜米利加風露)です。萼の先の突起が焦茶色になっているのもアクセントの一つです。右側には蕾が… いち早く雌蕊が頭を出しています。
芝生の面に極小の花を見つけました。ネバリノミノツヅリ(粘り蚤の綴り)という植物です。細い茎ですが草丈は10センチくらいはあり、沢山枝分かれをしています。「綴り」とは粗末な衣服のことだそうで、小さな葉を蚤が着る衣服に例えたのが名前の由来だとか。「ネバリ」と頭に付けられているのは、触るとネバネバしているからだそうです。花は大きさ3ミリといったところでしょうか。この個体には花柱が4本見えますが、3本の花の方が主流の様です。意外な感じがするのですが、ナデシコの仲間(ナデシコ科)だそうです。
ナデシコの仲間の極小の花をもう一つ。ツメクサ(爪草)です。茎は糸の様に細く、草丈も数センチしかありません。シロツメクサやコメツブツメクサのツメクサと音こそ同じですが、そちらの方は「詰草」で、シロツメクサが緩衝用詰め物として使われたからというのに対し、この「爪草」の方は細い葉を鳥の爪に例えたからだそうです。
プールの窓から満開のツツジ(躑躅)がよく見えます。締めとして、この時期ならではの満開のツツジを前景にしたプール棟の光景を一枚。
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