2021/06/24
夏至が過ぎました。この時期、蛍火の話がちらほらと伝わってきます。太陽の郷で蛍を見ることはありませんね。「♪蛍の宿は川端楊(やなぎ)・・・」ですから、蛍は清流のほとりを群れ飛ぶのでしょうか。
短夜を皆さんは心地いいプールの疲れを癒やしながらどのようにお過ごしですか。
(以下、柴橋さん投稿です。)
雨の中、ヤブカンゾウ(藪萱草)が咲いています。八重咲きのワスレグサ(忘れ草)です。ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)の仲間ですので、花の命は短く、一日で萎れてしまいます。いにしえの万葉の頃より、忘れ草を詠んだ和歌が多くあります。この花を詠ったのでしょうか。
アメンボ(飴坊)が沢山、池の水面に浮かんでいます。足に密生している毛が水を撥く表面張力を用いて、水に浮かんでいるのだとか。水着の生地も撥水性がありますが、その比ではありません。前脚は短く、中脚と後脚は体長より長く目立ちます。主に中脚で推進し、方向操作は後脚で行っている様です。雨で羽が濡れて水に落ちてしまった小さな虫が立てる水面の振動を検知して、虫を捕食する肉食昆虫です。検知の方法は、口針、要は口にレコード針をつけている様なものですね。アメンボの名前は、雨に合わせて現れるからだとばかり勝手に思い込んでいたのですが、本当は、飴の様な臭いの棒の様な体つきからだとか。カメムシの仲間だそうです。なるほど臭う訳です。
セリ(芹)の花が咲きだしました。早速、蟻が蜜に惹かれてやって来ました。セリの花は、まず雄蕊だけの雄性期があり、やがて雄蕊が落ちて雌蕊が発育する雌性期となります。咲き始めの今は、ほとんどの花が雄性期の状態です。
コヒルガオ(小昼顔)が咲いています。朝咲くのがアサガオ、昼咲くのがヒルガオと承知していましたが、この頃は、夕方遅くまで咲き続けたり、晩秋まで咲くアサガオもあるので、ややこしくなりました。鏃(やじり)型の葉も特徴的です。
一日経ったオオシロカラカサタケ(大白唐傘茸)です。傘を大きく広げた堂々たる姿に変身していました。カタカナで書くと一体何という感じですが、漢字を見れば、大きくて白い唐傘の様なキノコという意味は明白です。「唐傘」とは和傘のことです、念の為。
近くの木にエビヅル(蝦蔓)が絡みついています。雌雄別株でここに咲いているのは雄花です。長い雄蕊が5本、真ん中に退化した雌蕊の痕跡が見られます。注意して見ると、雄蕊をピンと伸ばした開花しきった状態と蕾の状態の花しか見当たりません。遷移状態はどんなだろうと探すのですが、見当たりませんでした。今度は雌花と開花しかけの雄花を探してみましょう。花の下の大きい葉がエビヅルの葉です。
ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)が橙赤色の花と蕾を二列につけています。その色から漢字は「緋扇」かと思いきや、「檜扇」だそうです。その「檜扇」とは檜材で作られた上質な扇のことで、紙の扇はそれを簡略化した普段使いのものという位置付けだそうです。この花の些かややこしい感のある名前には、元々、剣状の葉が「檜扇」に似ていることからヒオウギ(檜扇)と呼ばれる多年草があったところに、少しそれに似た花が外来種として導入されてヒメヒオウギ(姫檜扇)と名付けられ、一方で同じく外来種で葉のつき方が「檜扇」に似るものの花は水仙に似るということからヒオウギズイセン(檜扇水仙)と名付けられた花があり、それから更に交配されて作られたのがヒメヒオウギズイセンという事情があります。水仙と名前の一部に入ってはいますが、スイセンの仲間ではありません。それにそもそも水仙に似ているとも思えません。このあたりの紛らわしい名前の付け方のセンスは最悪で実に嘆かわしく思うのですが、もとより、花達に責任のある話ではありません。
マンテマが所々に群生しています。白の縁取りのある深紅の花弁というべきか、白の花弁に深紅の大きな斑点というべきなのか、小さいながらも目立つ花です。更にその基部がハイネックの様な構造を見せています。膨らみを持った長い萼筒の縦縞も印象的です。
正門脇の一角に多肉植物が何種類か植えられています。その中に、日本原産のタイトゴメ(大唐米)が花を咲かせています。現代日本ではお米は白米ですが、戦国時代には、評価が低い赤米(あかごめ)もあったそうです。その赤米は外米だったので「大唐米(ダイトウマイ)」と呼ばれたそうですが、タイトゴメの葉がその「大唐米」の米粒に似ていることから、そう呼ばれるのだとか。と言われても、赤米を見なくなった今となってはピンと来ません。寧ろミニサボテンといった印象なので、日本原産と聞いて驚きです。黄色の花弁が5枚、雄蕊が10本、雌蕊も5本あります。
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