情景「プールサイド」

2021/05/20

初夏を彩る

五月晴れとはいかず梅雨模様が続きます。それでも梅雨入り宣言はまだのようです。時折差す陽光を待ちかねたかのように、植物たちが花開きます。濃さを増す緑に合わせ、彩り豊かに花々が咲き誇っています。

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

庭園受付ハウス傍のハゼノキ(櫨の木)の花が咲き始めました。ハゼノキは雌雄別株で、この木は雌株のようです。雌花にしては、はっきりと雄蕊も見えますが、それでも退化しているのだそうです。雄花を見つけたら比べて見ましょう。

芝の方に進むと、鮮やかな黄色のオオキンケイギク(大金鶏菊)が、風に吹かれて、ゆらゆらと揺れています。花も蕾も、ヒマワリ宜しく、どれも太陽の方向を追っています。光に透けて輝く萼が印象的です。おや、天邪鬼が一輪いました。

その近く、プール棟の西に、淡い紅色の花が咲き、木苺の実が育ち始めています。植物にお詳しいTさんに、ブラックベリーと教わりました。雌蕊も花托も薄緑で、実も今は緑に輝いています。実は、やがて赤くなり、さらに熟すと黒くなるそうですから、これからの変容が楽しみです。

やや丸池寄りには、やはり木苺属らしき白い花が咲いています。長い雄蕊も白いので、花全体が白です。ブラックベリーの変種、ボイズンベリーでしょうか。どういう実になるのでしょう。

旧第一病舎東側のソメイヨシノの傍の低木も沢山の白い花を咲かせています。甘い香りでいっぱいです。すっかり葉が落ちた木に冬芽が顔を出した頃から、何の木だろうかと思案していたのですが、これでイボタノキ(水蝋樹)と見立てがつきました。寄生する特殊な虫から体のイボ(疣)を取る薬が作られたことから、イボ取りの木とされ、それが変じてイボタノキになったとか。一方、中国では、この虫から取れる蝋に因んでこの木の名を水蝋樹と呼ぶ、いえ、書くのだそうです。呼び名は日本語でも表記は漢字の国に倣ったということなのでしょうが、幾ら何でも水蝋樹をイボタノキと読ませようとは無茶な話です。

 

梅林近くに咲いていたアメリカフウロ(亜米利加風露)が、携帯電話中継機のアンテナの様な姿になっていました。一見、尖った棒の中にタネが詰まっていそうですが、実際には基部の膨らんだ部分に入っているそうです。

ムラサキカタバミ(紫片喰)とベニカタバミ(紅片喰)です。並んで咲いていると、色の違いが明らかです。繁殖力の強いカタバミ属ですが、その中でムラサキカタバミだけは種子ではなく、代わりに小さな球根で繁殖するのだそうです。

雄蕊が金の糸の様に見え、花の形が梅の花に似ていて、しかも大輪だから、ということで、タイリンキンシバイ(大輪金糸梅)と呼ばれる華やかな花です。園芸品種としては、ヒペリカム・ヒドコートという名前でも流通しているようです。葉が左と右に2枚で一対になっていますが、次の一対とは直角にずれてついています。

(太陽の郷玄関前ロータリーに向かっています。)

上を見上げると、燃える様な濃赤色のシャクナゲ(石楠花)が満開でした。雄蕊も葯も濃赤色です。シャクナゲは園芸品種として世界各地で何千もの品種が作られているので品種の見立ては難しいのですが、この情熱的な色のシャクナゲはバルカンという品種ではないでしょうか。アルファベットで書くとVで始まるローマ神話に登場する火の神に由来する名前が、この濃赤色にいかにも相応しい様に思えるからです。

(毎年このシャクナゲを見ては、エベレスト街道で出会った深紅のシャクナゲを思い起こします。日本的ではないのですが、この庭園で好きな花の1つです。)

赤い花といえば、ザクロ(柘榴)も咲き始めました。朱色、いや、紅色と言うべきでしょう。「紅一点」という言葉は、一面緑の中の一輪のザクロの花を詠んだ詩が由来だそうですから。花弁が薄いからでしょうか、開いても皺があります。

庭園入口に戻ると、ハゼノキの花にクマバチ(熊蜂)が羽音を立ててやって来ました。花粉まみれになって、花から花へと蜜を求めて飛び回っています。ハゼノキの蜂蜜を試して見たくなりました。それと、… 腹筋を強くしようと思ったのでありました。

(腹筋大事でした。クマンバチは蜜を求めて、そしておいらが求めるのは美しくしなやかな究極のストリームライン・・・。)

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