2022/05/12
立夏を過ぎて桜の葉の緑が色濃くなってきました。繁る葉の陰で青かった実が日一日と色づいていきます。市販のさくらんぼのようには大きくなりませんが、赤く熟す頃、鳥たちが啄みに来ます。美味しいのかと去年も食してみましたが・・・。皆さんも一粒いかがですか、そろそろでしょうか。
葉に隠れまだ青きかなさくらんぼ
(以下、柴橋さん投稿です。)
東側の道は、生垣のテイカカズラ(定家葛)の甘い香りで一杯です。その昔はマサキノカズラ(真拆の葛)と呼ばれていたのだそうです。それが、室町時代の能作者、金春禅竹(こんぱるぜんちく)作の謡曲「定家」の広まりとともに、藤原定家の恋物語に因んで、定家葛と呼ばれるようになったのだとか。花の名を変えるほどの大ヒット作であったというわけですね。
クスノキ(楠)の大樹が、その上から下まで黄緑色の小さな花を沢山つけています。雄蕊が6本、その内側の黄色いのは腺体、その更に内側に3本は雄蕊があり、中心に雌蕊が1本。小さくても、結構複雑な構造をしています。
(あの小さな花はこんななんですね。)
クスノキには害虫が寄り付かない様に見えます。漢字では「楠」の他に、「樟」と書いたりもします。防虫剤として使われる樟脳はクスノキから採られていたくらいですから、樹に含まれるその成分によって害虫を寄せ付けないのかと思いきや、そう単純な話でもない様です。葉の付け根付近に見えるダニ室と呼ばれる2つの小さなイボに、ある種のダニを住みつかせているそうです。そのダニはクスノキにとって害である筈ですが、一説によると、その存在のために、より手強い害虫が退治されるのだとか???もっとも、ダニ室のダニこそが害虫で、ダニを閉じ込めて葉を落とすことによってそれを駆除しているとする説もあるのだとか???
小さな花をもう一つ。ツルウメモドキ(蔓梅擬)です。雌雄異株で、これは雄花です。雄蕊がはっきりとしているのに対し、退化した雌蕊はひっそりとしています。
こちらは雌花です。雌蕊がはっきりしているのに対し、退化した雄蕊はひっそりとしています。晩秋に鮮やかな赤い実を見せるようになるのは、勿論、この雌花の方です。
小さな花を更にもう一つ。ヤエムグラ(八重葎)、衣服に容易に付着する「ひっつき虫」の花です。細かい毛に覆われた小さな球がその果実です。八重葎は百人一首に選ばれている恵慶法師の歌でも知られています。
ひょうたん池の水辺に咲く、オランダガラシ(和蘭陀辛子)です。クレソンの方が名前の通りが良いかも知れません。雌蕊が棒状に突き出て伸びてゆき、それが果実になるところは、タネツケバナやアブラナの仲間であることを示しています。
旧南湖院第一病舎の北側に、ユズリハ(譲葉)があります。雌雄別株で、これは雌株の葉の腋から顔を出した雌花です。どこが?と思われるかも知れませんが、先端から僅かに出ているのが雌蕊で、やがてそれらしい形へと成長します。ただ、それでも花としては雌蕊だけで、これが花?と思われるかも知れません。何しろ風媒花ですから。
もう少し花らしい花、山椒の若木の傍に咲いたオオジシバリ(大地縛り)です。先端がくるりとしている雌蕊、その基部がやや太めで茶色になっていますが、それが雄蕊です。他の花の花粉がもらえないと、雌蕊の花柱が下向きにクルリと方向変換して、同花受粉するそうです。確かに数本の花柱は下に向かっている様にも見えますね。
華やかな花、カルミア、別名アメリカ石楠花(しゃくなげ)です。蕾がまるで金平糖の様です。一世紀以上前に、当時の尾崎・東京市長が日米友好の印として贈った桜の木のお礼にと、米国からハナミズキと共に贈られてきたのが日本での最初だったとか。今ではハナミズキもカルミアもすっかり馴染みとなりました。
旧第一病舎の西、高木のミズキ(水木)の花です。ミズキは、春先に枝を切ると水が滴り落ちることが名前の由来とか。いつか確かめて見たいと思っています。
締めは、ミズキの近くで見かけた、幸福を呼ぶというハート模様のエサキモンキツノカメムシです。エサキ(江崎)というのは高名な昆虫学者に敬意を表して付けられたのだそうですが、全体として長い片仮名表記は読みにくく、ずっと「紋付(モンツキ)の亀虫」だとばかり思っていました。肩が張った姿に裃を想起させられたので全く疑問を抱きもしなかったのでしたが、今回、正しくは江崎・紋黄(モンキ)角亀虫(ツノカメムシ)なのであると初めて認識しました。念のために調べてみて良かった (;^_^)
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