情景「プールサイド」

2021/06/17

そして梅雨入り

ようやく関東も梅雨入りしました。雨音が緑を濡らしていきます。♪五月雨は緑色・・・と唄うのは村下孝蔵さん、いつ聴いても色褪せぬ「初恋」の歌いだしです。水分をいっぱいもらって、郷の草木がすくすくと育ちます。陽が照ったら刈込もせねば・・・。

 

小さき命のバトルを垣間見るシーンも登場します。
(以下、柴橋さん投稿です。)

北側境界近くにヌルデ(白膠木)の木があります。葉には特徴的な翼(よく)があるので、同定は容易です。以前キブシの花を紹介した折に書きましたが、ヌルデの葉に虫が寄生して瘤(五倍子:フシ)ができると漢字表記の様に五倍くらいに膨らんでしまうことがあるそうです。その昔はそのフシから「お歯黒」の染料が採れたとか。で、フシを見たくて探したのですが残念ながら見当たりませんでした。

同じ並びに紅色のキョウチクトウ(夾竹桃)の蕾を見つけました。スティックから僅かにのぞく口紅の様です。

ヤマグワ(山桑)の実が赤く熟しました。

カタツムリ(ミスジマイマイ(三筋蝸牛))がそんな実に近づこうとしているようです。

撮影者に気付いたのか、器用に頭をくねらせてこちらを睨むかの様な姿勢をとりました。さらには威嚇するかの様に、なにかの噴射孔をこちらに向けて… 。思わず身構えたところ、なんとそれは排泄孔なのでした!

ひょうたん池の近くに咲いたイヌホオズキ(犬酸漿)の花です。ナスやホオズキを小型にした様な可愛い花ですが、果実は有毒だそうです。こういう事柄は、過去に何人もの人が犠牲になって明らかになったのでしょうね。

初夏から晩秋までと花期が長い、アベリアの開花期直前の蕾です。ハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)という和名もあるそうです。花が羽根つきの羽根に似ているので「衝羽根」と名前の一部に入れられているのだとか。開花期前の蕾だけの姿も魅力的です。紅色の萼片が印象的です。

白いハギ(萩)も咲き出しました。紅白揃って咲いています。

(ここにはシロバナハギが先住していました。その一角に、届けられたミヤギノハギを置くことになって、今の萩園に至っています。)

その近くに咲く紫陽花は、花弁がクルッと丸まっていて浅い皿か椀の様な形になっています。偶々目に入った花だけ何か病気なのかと思いましたが、どれもがそうなっています。ウズアジサイ(渦紫陽花)という品種だそうです。名前の由来は、花の形が渦を巻いたかの様だから、という説明なのですが、正直、渦という例えにはあまり得心できません。

(紫陽花をこんなふうに見ることは今までありませんでした。普段気づきようもない視点に導いてくれるこの講座の素晴らしさを感じる時です。)

渦模様の見本となるのは正にこれでしょう。そばで見つけたシダの若葉です。

これも見事な渦巻きです。先週、右巻きのネジバナ(捩花)を見ていただきましたが、今回は左巻きのネジバナです。右巻きと左巻きの頻度には特に偏りはない様な気がします。

(ヒトのつむじはどうなんでしょうね。どっち巻きがいいかちょっと気になりました。)

ナンキンハゼ(南京櫨)の蕾が穂になって直立しています。雌雄異花で、穂の大部分は雄花の蕾ですが、基部に雌花の蕾らしきものが僅かにあるように見えます。これからの成長と変容を楽しみにして観察を続けることにしましょう。

(蝋が採れるというあの秋の実にどのようになっていくのか楽しみです。栴檀も。)

アブラムシが集団となって、それぞれ口針をナンキンハゼの花穂基部に突き刺して栄養液を吸っていました。そこへ天敵ナミテントウ(並天道)の登場です。一匹のアブラムシを、見かけによらず立派な大顎でガブリと噛み付いて、剥がしにかかります。ラグビーのワールドカップの際に俄かファンとなって覚えた「ジャッカル」という技を思い起こしました。もっとも「ジャッカル」の名称は、動物のジャッカルが獲物を捕らえる様子に似ているから付けられたそうですが… 捕まったアブラムシは全く抵抗できません。そんな中、他のアブラムシ達は、気付かないのか、我関せずなのか、逃げることもなく相変わらず吸汁に夢中です。

(ジャッカルと言えばジャパンの6番フランカー姫野でした。ここではテントウムシの登場、大自然の一隅で繰り広げられるバトルは、ラグビーの比ではなく生死を掛けた営みなのですね。)

ナミテントウの背中の模様には、色々なものがある様です。この個体は、黒地に赤い点が左右に一つずつ鮮やかです。獲物を集団からは少し離れたところまで引きずりおろすと、あっという間に完食です。バトルにならず勝敗は一方的です。テントウムシの圧勝です。「天敵」という言葉を実感します。生き物達の多様な組み合わせによって生態系は自然に保たれるということなのでしょう。

(一見弱きアブラムシ、大量の数で種の保存を図るのですね。自然の妙を感じます。何かに挑まずにはおれない人類、破綻を起こしては大自然にせせら笑われているような・・・。)

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