2021/04/29
プール東側道端の定家葛が咲き、その内側で小ぶりの筍が採れるようになると春はたけなわです。木も草も一斉に花開き春爛漫と言ったところでしょうか。
2か月間掛かっていた足場が取れていつもの見慣れたプールガーデンの佇まいが戻ってきました。プールに雫が垂れて何が悪い?などと強がりを言わずにすむようになりました。
水に遊び、その行き帰りに花々をお楽しみください。
(以下、柴橋さん投稿です。)
東側の生垣のテイカカズラ(定家葛)が咲き始めました。式子内親王との成就しなかった恋の妄執のあまり、藤原定家が蔦葛となって彼女の墓に絡みついたという、室町時代の能作者、金春禅竹(こんぱるぜんちく)作の謡曲「定家」が名前の由来とか。円錐形によじれた蕾からほどけた5枚の花弁の花は小さな風車の様です。芳しい香りがいっぱいです。
同じ生垣にスイカズラ(吸葛)の唇形の花も咲いています。名前の由来は、花筒に蜜があるので、ちぎって吸うことが行われたことに因むとか。冬場を越すので「忍冬」と書くこともあるようです。花は二つずつ並んで咲き、甘い香りを漂わせています。開花直後は僅かに淡い紅を帯びた白ですが、しだいに黄色に変わります。
良い香りの花を挙げるならば、香水の原料として利用される程の素敵な香りの薄紫色の穂、ライラックを忘れるわけには行きません。歌などを通して、「リラの花」という、フランス語に基づく柔らかい響きの名でも親しまれていますね。
藤棚の下は、フジの花の香りで満たされています。今般の状況では匂いを嗅ぐためにいちいちマスクを外さねばならないのが煩わしいですが、その反面、マスクを外した途端に香りが満ち溢れるというのも、楽しみ方として新鮮です。とは言え、花の種類によっては、芳香とは限りませんのでご用心を。
(南湖院時代からの藤棚です。傍らの丸池と合わせ南湖院遺構です。向うに映る第一病舎は明治32年の築、不治の病に立ち向かった畊安を象徴する建物です。ここに行き交う様々な人生を藤棚は幾年月見てきたことでしょう。そしてこれからもずっと・・・。)
近くのグミ(茱萸)の花も甘い香りを漂わせています。沢山の花が咲いているからでしょうか。花弁の様に見えるのは実は萼(がく)で、その先端が4つに分かれているのが花弁の様な印象を与えているのだそうです。本来の花弁はないのだそうです。
花の香りを味わうには木が高くなりすぎていますが、ニセアカシアの花は甘い香りでいっぱいの筈です。蜜は国産の蜂蜜の重要な蜜源となっていますし、花は香水原料にも使われている様です。ハリエンジュ(針槐)が本来の和名ですが、ニセアカシアの別名の方が広く知れ渡っている様に思います。
池の水辺にキショウブ(黄菖蒲)が鮮やかな黄色の立派な花を咲かせています。先端が垂れ下がっている大きな目立つ花弁(業界用語では外花被片(がいかひへん)と言うそうです)が3枚、そのそれぞれの上に被さって先端が上に反っているのが雌蕊で、雄蕊はその下に隠れています。蜂は蜜を求めて、外花被片と雌蕊の間に潜り込みます。大きな花弁の間にある直立した小さな3枚も花弁(業界用語では内花被片(ないかひへん))だそうです。香りというか匂いも強いですが、魅力は容姿の方でしょう。
同じ池の水辺にオランダガラシ(和蘭陀辛子)が咲いていました。クレソンの名の方が通りは良いかも知れません。雌蕊が突き出している様に見えるのは、若い果実です。花が咲いているうちから細い棒として日々伸びて行くのは意外であり驚きです。
池の東側は、茎が黒いクロチク(黒竹)が茂る一画です。クロチクは、節度良くまっすぐ伸びるので縁起の良い植物とされる竹の中でも、歳を重ねて美しく黒くなることから特に縁起物とされるそうです。そこからハミ出して来て顔を出した筍です。
ファインダーを覗いても判然としないまま、シャッターを切りました。パソコンの画面で見て驚きました。カタツムリがこんな高い所に、そして桑の実を食べているなんて。が、調べてみて更に驚きました。よくある光景の様なのです。ミスジマイマイ(三筋蝸牛)というカタツムリです。進みの鈍いカタツムリが、どこから、どれくらいの時間をかけてここに辿り着いたのか。そもそも、どうやって桑の実の存在を認識できるのか。小さなカタツムリでは、高い木の上を視覚的に認識できるとは思えません。となると、嗅覚なのでしょう。遠くからでも桑の実の甘い匂いを嗅ぎ分けて辿り着くのでしょうか?桑の実には驚かされっぱなしです。
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