2024/04/25
プール棟南東の秋楡が芽吹いてきました。秋楡は庭園にこの1本だけ、プール竣工時(2007年)にはなかった木です。鳥が落とした実生でしょうか、17年でこんなに大きくなるのですね。庭園の樹々は、成長に伴い、郷の景観を緩やかに変えていってくれます。自然の理に叶った育成に腐心しているのが植栽担当、豊かでさりげない庭作りの伝統を受け継ぐこころを感じるひと時となりました。
(以下、柴橋さん投稿です。)
樹々の新緑が美しいこの時期、芝に黒っぽい穂が目立つ時期でもあります。よく見れば、それぞれの穂に花らしからぬ花が整列して咲いています。それぞれの花からはまずは雌蕊が現れています。
やがて雌蕊が萎れると、今度は雄蕊が現れ、葯から花粉を放出します。雌蕊と雄蕊が同時には出現しないのは、自家受粉を避ける仕組みなのでしょう。芝の穂は数は多いものの、それでもイネなどとは違い、種を残す確率も、種から発芽する確率も極めて低いのだそうです。
芝生には小さいながら黄色い花も目立ちます。大きさ数ミリの花かと思われるそうですが、さらに小さな花が集まって一つの花の様に見えているものです。その小ささからか、コメツブツメクサ(米粒詰草)と名付けられています。「詰草」の名は、シロツメクサが典型ですが、その昔、箱詰めするときの緩衝材として使われたからだそうです。
芝生には、もっと小さな(2ミリくらい)、こんな可憐な花も咲いています。ノミノツヅリ(蚤の綴り)です。「綴り」とは短い衣のことで、その小さな葉を蚤の衣服に喩えたのがこの名の由来だとか。
やはり、大きさは2ミリあるかないかでしょうか。キュウリグサ(胡瓜草)です。見た目はキュウリとは何の関係もなさそうなのですが、葉を揉むとあら不思議、なんとキュウリの匂いがします。名前に納得です。
オランダミミナグサ(阿蘭陀耳菜草)は、花が終わり果実となりました。先端に花柱をわずかに残したまま萼から伸び出しているのが熟した果実、先端が10烈して吹き流し状になっているのは、種子を放出した後の状態の姿です。
小さくも可憐な花を咲かせていたフラサバソウも、球が二つ合体したような形の果実となりました。花よりは大きい(4ミリくらい)のですが、花ほどには目立ちません。
2年前の初夏に、同好のMさんに指摘されて、こんなところにこんな植物があることを知りました。その時には花の時期は既に過ぎており、昨春は見落としてしまったので、今年初めて花を確認しました。葉の付け根から白い花を葉の陰に隠す様に垂れ下げているアマドコロ(甘野老)です。
垂れ下がっているというより、吊り下げられているといった感のあるスイバ(酸葉)の雄花です。こういう切り取り方で拡大して見ると、秋田の竿燈を思い起こさせられます。
スイバは雌雄異株です。雄花は細い糸で吊り下げられた大きな傘の陰に、ウインドチャイムの様に大きな雄蕊が吊り下げられています。風に揺れながら花粉を飛ばす風媒花なのですが、それらしからぬ、絵になる姿をしています。
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