情景「プールサイド」

2022/12/15

藤の一年

ロビーの窓越しに見える藤、春先に葉が出始め、やがて花穂が伸び紫に咲き枝垂れると初夏です。葉が茂り蔦が伸びに伸びる盛夏、その蔓を刈りくたびれた頃秋を迎えます。師走に入り葉が落ちて豆の鞘が目立つようになりました。薄くなった葉の向こうには榎や枯芝が垣間見えます。藤は葉芽花芽の準備怠りなく、枝だけになって冬を迎えます。
何とはなしに気ぜわしさの漂う年の瀬、なにかやり残したことがあるような・・・。“まあいいか”で今年が暮れようとしています。

 

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

年末になる迄には、きちんと成熟してソバカスもなくなり、麗しい赤になるものですね。マンリョウ(万両)の果実です。

 

隣のキミノセンリョウ(黄実千両)も美しく成熟しました。頂部の黒点は雌蕊の柱頭の痕跡、脇の小さな黒点は雄蕊の痕跡の様です。あの奇妙な風貌の痕跡を残しているのです。

 

シャリンバイ(車輪梅)の果実も成熟して黒くなりました。緑、赤紫、青紫、紺色という具合に変遷を楽しめました。

 

同じく黒く成熟したのは、オオバイボタノキ(大葉水蝋)の果実です。名前の由来がネズミの糞に似ている果実からというネズミモチ、トウネズミモチの果実もよく似ています。オオバイボタとしては、ネズミの糞になぞらえられることを免れて幸いといったところでしょうか。

 

この渋い茶色に輝くのは、サオトメバナ(早乙女花)の成熟途中の果実です。もっと成熟すると艶のある黒柿色の珠玉になりますが、この色合いも素敵です。

(ヘクソカズラでしたね。)

 

ユズリハ(譲葉)は雌雄異株なので、果実が見られるのは雌株です。あまり特徴らしい特徴がないのが特徴といったところでしょうか。

 

さて、たわわに実ったこの果物はなんでしょう。……西洋梨かなと思わせるのは、トベラ(海桐)でした。3つに裂けて赤い実が露出すれば、あ〜と思われるでしょうが、その前段階を拡大した姿は見慣れないですね。

 

では、この果物は? ……う〜ん、拡大して見せられると、結構解りにくいものですね。センダン(栴檀)でした。

 

イチジクをまん丸くした様なこの果実は、先週その鋭利な冬芽を紹介したイヌビワ(犬枇杷)です。イチジク同様に、花は外に現れることなく果実になりますから、犬枇杷ではなくてイヌイチジクの名の方が相応しいのではと思ってしまいます。

 

白い花であるかの様に立ち枯れたのはツルボ(蔓穂)です。下の方には、黒い果実が顔を出しています。他の果実はもうどこかに飛散したのでしょうか。

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