情景「プールサイド」

2022/11/03

赤とんぼ

あんなに飛んでいた赤とんぼがめっきり少なくなってきました。

♪夕焼け小焼けの赤とんぼ 負われて見たのは何時の日か
ずっと「追われて」と思っていました。鬼ごっこの周りを飛び交うとんぼが目に入る、そんな風に思っていたのです。“負われて”、つまり“ 背負われて”に気付いたのはずいぶん大きくなってからのことでした。

♪十五で姐やは嫁に行き お里の便りも絶え果てた
姐やの背の温もりを感じながら見た真っ赤な夕焼けと赤トンボを三木露風は姐やへの思慕に重ねて詠じたように思います。便りも途絶えた姐やの嫁ぎ先での働き詰めは想像に難くなく、露風のうら悲しさが伝わってきます。
秋を歌う童謡にはこの他にも里の秋、夕焼け小焼け、もみじ、旅愁など佳曲が多数。深まりゆく秋がそこはかとなく聴こえてくるようです。

♪夕焼け小焼けの赤とんぼ 止まっているよ竿の先

 

(以下、柴橋さん投稿です)

東側の生垣に沢山咲いた花の後、植栽を逃れて結実した果実、今回はムベ(郁子)を探してみました。ありました、ありました。一つだけでしたが、果実自身が大きいので、容易に見つかりました。少し色づき始めています。これから更に赤紫色に熟すことでしょう。果実の下の方の葉は7枚ついています。若枝には3枚、他に5枚葉もあり、7枚葉になると結実すると言われています。今の七五三の時期に似合うおめでたい植物です。

 

東側の生垣沿いの果実をもう一種。生垣近くの背の高いムラサキシキブ(紫式部)の木の実です。こちらは数多く見ることができます。朝の日があたると、紫色が一段と美しく映えています。

 

背景の木々の影が長くなり、ナンキンハゼ(南京櫨)や桜の紅葉と共に、プールの窓から輝く様に見えるパンパスグラスも一段と映える様になりました。

 

その奥には萩が咲いています。赤紫色のミヤギノハギ(宮城野萩)です。

(周りの白花萩に押され今年は少し元気がないような、来年も咲いておくれ)

 

こちらはシロバナハギ(白花萩)。宮城野萩の変種なのだそうです。

 

散策路をずっと行くと、タイワンホトトギス(台湾杜鵑草)が沢山の花を咲かせています。名前の由来となった鳥のホトトギスの胸の斑ら模様に似た花弁から、雄蕊と雌蕊が噴水の様な姿で伸び出ています。

 

ツルウメモドキ(蔓梅擬)の果皮が弾けて、鮮やかな朱色の果実が現れました。葉が梅に似ていることからこの名がつけられた様ですが、実(じつ)はニシキギの仲間で、確かに実(み)はニシキギやコマユミと似ています。

 

こちらは、枝が車輪の様に分岐していて、花は梅に似ているところからこの名で呼ばれるのだとか。緑だったのが、やや赤味に色付いてきたと思っていたら、いつの間にか、こんなに綺麗な紺色になっていました。シャリンバイ(車輪梅)の果実です。

 

横から見ると、開き始めの蕾の様にも見えます。上から見るとこの通り、白い栓をされた瓶が並んでいる様な姿です。花弁が散った後のコスモスの若い果実です。

 

雄蕊がなければ粉糖がかかった円錐形の小さなチョコレートの集まりと言っても通じるかも知れません。キヅタ(木蔦)の花の雄性期も半ばを過ぎた頃です。粉糖の様に見えるのは固まった蜜です。いかに蜜が多いかが分かろうというものです。

 

秋の夕暮れは早いです。コマツヨイグサ(小待宵草)の開花する時刻も早くなっている様に感じます。

 

秋の夕方、色付いたナンキンハゼの先端で何を想っているのでしょうか。

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