2022/10/13
秋の深まった穂高岳は今どんな表情をしていることか。この時期、西穂から奥穂へ向かう稜線の岳沢側では黄葉したダケカンバが本邦屈指の縦走路に彩りを添えて登山者の励ましになっています。アップダウンを繰り返しロバの耳・ウマノセの核心部をやり過ごせば奥穂(3190m)は眼前、山頂から望む涸沢はナナカマドの紅葉が見事です。
翌日は穂高岳山荘を夜明け前に発ってザイテングラードを下り、ナナカマド沿いを歩き、本谷橋、横尾、徳沢、明神と辿って上高地に戻ります。この縦走路は4回ほどやりました。快晴もあれば雨降りもありました。隣の方と頭と足を交互に詰め込まれた北穂の小屋泊まりも懐かしい。錦秋の北アルプスはそろそろ冬支度でしょうか。
(夏から初秋にかけてお花畑が素敵です)
涸沢ゆ奥穂高への花野かな
(以下、柴橋さん投稿です)
センダングサからその花弁の様に見える舌状花を取り去った様なこの花は、コセンダングサ(小栴檀草)です。センダングサ同様、菊の仲間です。舌状花がなく、筒状花だけから成っています。周辺部は開花からまだ間もない様ですが、中心部の筒状花では柱頭が目立っていますね。
こちらはセンダングサ(栴檀草)の若い果実です。服にくっつく、いわゆる「ひっつき虫」です。筒状花の一つ一つが結実していて、先端が3本に別れた銛(もり)の様になっています。よく見ると、銛には下向きの鋭い棘があります。服や動物の毛に付着して種子を拡散させる仕掛けです。
果実はやがて球状に開いて、四方八方が銛になっています。この個体では、上向きだった部分は既になくなっていますから、どこかにもう拡散していったのでしょう。
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)も菊の仲間です。多数の花が軸に付いている様に見えますが、その一つの花の様に見えるものは総苞(そうほう)と呼ばれる個々の花を束ねたものです。細いながらも反り返った花弁らしきものとY字の様に先が裂けている雌蕊とで、一つの舌状花を成しています。菊でいえば、花弁の様に見える部分です。それとは別に茶色っぽいやや太めのものが見えますが、これが筒状花、菊の花の真ん中部分に対応するものです。茶色っぽい部分の先が飛び出ている様に見えるのが雌蕊、下の太い部分が雄蕊の集まった姿です。菊らしく見える様になりましたでしょうか。
稲の苗代を作る時期に果実が熟すというナワシログミ(苗代茱萸)の蕾です。ソバカスだらけなのは、アキグミ、ナツグミといった茱萸の仲間に共通する特徴です。花弁はなく、花弁の様に見えるのは萼筒であることも同じく共通の特徴です。
ソバカスだらけの花だったマンリョウ(万両)の若い果実は、やはりソバカスだらけです。年末までには熟れて赤くなることでしょう。
一体どこが花かと思ってしまうセンリョウ(千両)も、果実は果実らしい姿なのですから不思議です。こちらも年末までには熟れて赤くなることでしょう。
ノブドウ(野葡萄)の果実が色づき始めました。同じ茎についているのに、白やピンク、水色、青緑色、紫色など、様々な色合いをしています。名前に葡萄とはつくものの食すことはできません。
艶々した薄い黄緑色をしてたわわに実るこの果実、葉が写り込んでいなければ、何の果実だろうと思われるかも知れません。センダン(栴檀)です。沢山残っているのは、まだ熟れていないのか、それほど美味ではないからなのか、…
逆に、あれだけ沢山の花だったのに、… と思わせるのは、クスノキ(楠)です。熟れて黒くなるまで、どれだけ残っているでしょうか。まぁ、樹が大きいので、絶対数は多いのかもしれませんが…
ススキ(薄)の実です。イネの仲間ですから、あまり花らしい花ではありませんが、その花が終わった後にできるのがこれです。ヒョロと伸び出ているのが芒(のぎ)で、この文字でススキと読ませることもあります。基部の長い毛がススキの穂をキラキラと輝かせています。
キヅタ(木蔦)の蕾が膨らみ、雄蕊の葯が顔を出し始めたところを撮ることができました。葯はまるでモヤシの豆の様です。先ずは雄蕊だけが現れて雄性の花となり、やがて雄蕊は落ちるとともに雌蕊が伸び出して雌性の花となります。幾何学的に美しいと思わせる花でもあります。
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